ウンコ的な臭い

専門学校に通ってた頃なんですけど、ある日教室で授業始まるの待ってたら変な臭いがしたんですよ。ウンコみたいな臭いなんですけど、ウンコとはちょっと違う、初めて嗅ぐような独特の臭さ。何だこりゃと思ったんですけど、その臭いはすぐに消えたんですね。

で、授業始まって皆で和気あいあいと課題制作してたんですけど、また臭うんですよ。一瞬フワッと。くっさ~いのが。当然周りの人も臭ったようで、何か変な臭いしない?って話になったんですね。

ウンコの臭いとかだったら、トイレから風に乗ってきたのかなぁくらいで済むんですけど、臭いが独特なもんで何だこれは!ってなったわけですよ。でも臭うのは一瞬でずっと臭いわけではないので、話は多少盛り上がれど、皆はまぁいいかくらいの感じだったんですね。

しかも、教室の向かいにトイレがあって、風向きもトイレ側から教室の方だったんで、どうせトイレが原因だろうということで、普通に課題制作を続けてるわけですよ。

でも私は、その独特の臭さが気になってしょうがなかったんで確かめにいったんです。トイレに。

で、トイレに入って真っ先にとりあえず大便用のとこの臭い嗅いだんですけど、臭くないんですよ。ってかトイレ入った時点で臭ってもいいようなもんですけど臭わないんですよ。でもやっぱり原因はここしかないと思ってますから、いろいろ嗅いでみたんですね。

そしたら、入口付近の清掃用具入れのあたりで一瞬臭ったんですよ。あれ?ここか?と。でも入口付近で臭うってことはトイレの外かもしれないと。

だから一旦外に出て、鼻クンクン言わせながら廊下歩いてたら臭ったんですよ。結構強めに。え!廊下なの!?と思ったんですけど、いやそんなはずはないと。こんな臭いはトイレ以外あり得ないぞと。一応、その辺一体を嗅いでみたんですけどもう臭わないんで、やっぱりなと。

もう一回トイレに戻って隅々まで嗅ぎ回ったんです。こっちはもうトイレに的を絞ってますから徹底的に嗅ぎましたよ。一般の人の2年分くらいトイレの臭い嗅いだんじゃないですかね。上の方に溜まってるのか?なんつってジャンプしてみたりして。で、たまに臭うんですけど、いつも一瞬なの。何か臭いの塊が移動してる感じ。

もう一回大便器。違う。用具入れ。違う…あ!臭った!…でも違う。上の方。あ!また臭う!なんてやってる時に、あーーっ!と。もしや!と思って、自分の靴の裏見たら、おもいっきりウンコ踏んでんの。犬かなんかの。

獣のウンコだから臭い独特なの。何か藁みたいなのもついてたりして。

すぐさまこびりついてるウンコ落として、トイレに流して、靴きれいにして、「いや~、トイレが臭う気もするけど分からんな~」って言いながら教室に戻りましたよ。何だったんだろうねぇつって。

お茶日和

いつも会社にある自販機でお茶買うんですよ。緑茶。緑茶が特別好きってわけじゃないんですけど、缶コーヒーはそんな飲みたいと思わないし、他のジュースは甘ったるい。かといって水ってのも味気ないから、まぁお茶でいいかって感じでね。

でも、たまには違うものも飲みたくはなるわけですよ。そこでレモンティーのボタン押したんですね。そしたら緑茶出てきたんですよ。

だから、そんな好きじゃねーよ。

別の日に、今度はミルクティー飲もうと思ってミルクティーのボタン押したんですよ。コーヒー出てきたんですよ。

紅茶どこにあるんだよ。

赤いきつねと青い少年

この前コンビニ行ったら、野球の練習着着た中学生らしき少年が、ちょうどコンビニから出るとこだったんですよ。コンビニの前には同じく練習着着た少年が座ってるんで、まぁ連れでしょうね。手にはお湯が入った赤いきつね持ってるんですけど、そこはドアが自動じゃなくて手動だったんですよ。

普通両手塞がってたら、背中とか肩の辺りでドア押して開けますよね。でもその少年は、赤いきつねで押してるんですよ。両手で赤いきつね持って、ゆっくりゆーっくりドア押してんの。赤いきつねに一点集中。

アホでしょ。んで、あまりにゆっくりだから開けてやったんですよ。外からドアをガバッと。そしたらそいつ、両手で赤いきつね支えてると見せかけて、両手とドアの3点で支えてやがって、赤いきつ落としやがんの。集中しすぎて俺の存在に気づいてなかったのね。

そういう時って、「えー!」とか「マジかよ!」とかあるじゃないですか。何らかのリアクションが。私は思わず笑ったんですけど、そいつ微動だにせず落ちた赤いきつね見つめてんの。この世の終わりみたいな感じで。流石に謝りまりましたけど、反応が薄い薄い。暫く赤いきつね拾うことすらしませんでしたからね。赤いきつねの要であるきつねが、蓋の隙間かテロ~ンって出て、汁もこぼれてるのに。絵に描いたような「呆然と立ち尽くす」ですよ。そんな大事な赤いきつねでドア開けようとするなよ。

連れのとこに戻る後ろ姿があまりに切なくて、仕方ないから買ってやりましたよ。新しい赤いきつね。

何なんでしょうね。あのアホさ。絶対守備下手ですよアイツ。

ごっつ

「ごっつ」ていうあだ名の奴がいるんですよ。正確には「ごっっつ」なんですけど。この男、何を考えてるか分からない男でして。私もマイペースだっていわれるんですけど、この男に比べたら可愛いもんなんですよ。

ある日みんなで出掛けるって時に、ごっつは大きいワゴンに乗ってるんで、一旦集まってからごっつに乗せてってもらおうという事になったんですよ。駐車場から出る時に出口が2つあったんですけど、ごっつがどっちから出りゃいいのか迷ったんですね。

ま、どっちでも行ける事は行けるんですけど、右から出た方がいいので、ごっつに右だよと言ったんですね。そしたら左の方に向かいながら「ま、いっか。こっちで」って。

良くないんですよ。いや違う違うって言うんですけど、ごっつの意思は揺るがないんですよ。ホントに何考えてるか分からない。

友人10人くらいで集まってバーベキューをした時なんですけどね。俺は肉担当、あいつは野菜担当みたいな感じで食材調達して持ち寄ったわけですよ。ごっつは特に何かの担当ってわけじゃなかったんですけど、でっかいクーラーボックス持ってきてたんです。40リットルくらいのやつ。

ごっつ、これ何入ってるの?って聞いたら、まぁまぁとか言って誤摩化すの。誤摩化す意味が分からんのですよ。しかも、何回聞いても絶対言おうとしない。じゃあ何で持って来たんだよと。ホントに何考えてるか分からない。

その後、みんなで肉焼いて、たらふく食って、もう食えね〜ってところで、ごっつが桃持ってきたんだけど食うかと聞くわけです。ごっつの家は桃畑があるんで、桃持ってくるのは分かるんですよ。ただ食い終わったところで言い出すのがおかしいでしょ。食う前に言ってくれりゃ、悪いね、ありがとうってなるじゃないですか。そんなもん今更出されてもありがた迷惑みたいなね。

当然のように、みんなで一斉に食う前に出せよと突っ込んだんですけど、まぁ折角持ってきてくれたわけですから頂こうかと。じゃあ持ってきてよって言ったら、ごっつがさっきのクーラボックス持ってきたんですよ。

あ、これかと。何だ、中身は桃だったのかと。別に隠す必要ないじゃないかっつってパカッと開けたら、40リットルのクーラーボックスの中に桃満タンなの。

もうギッシリですよ。出荷か、と。素でこういうことするんですよ。ごっつは。食う前に出されてもアウトでした。

新聞

専門学生時代、東京で一人暮らししてたんですよ。築年数2桁の2階建てボロアパートで、夜中いつも天井から小動物が走る音が聞こえてくる様なとこだったんですけどね。

住みだした当初から新聞の勧誘が頻繁に来る訳ですよ。近くに読売新聞の集配所って言うの?そんな感じのがあるみたいで余計来てるんじゃねーかってくらい。最初の頃は、インターホンも無いし毎回ドア開けて対応してたんですけど、だんだん慣れてくるとドア開けずに「どちら様ですか?」「読売新聞ですけど」「あ、読まないんでいらないです」みたいな感じで、軽くあしらうようになったんですね。

それでもしつこく来るもんだから、次来た時はドア開けてきっぱり言ってやろうと思ったんですよ。取るつもりないんで、もう来ないでくれと。で、その時が来ましたよ。トントンと。読売新聞ですと。

よっしゃ、言ってやるぞと思ってガバッとドア開けたら、目の前にいる人が明らかにヤクザなんですよ。しかも2人組。派手めのスーツ着た厳ついおっさんの後ろに、変なアロハ着た「チンピラ」という言葉がしくりくる東南アジア系の外人がいるんですよ。

え?え?え?って思ってたら「おぅ、あんちゃん。読売新聞だけども」って。嘘つけ!勧誘員が客をあんちゃんとは呼ばねぇだろ!と思ってドア閉めようと思ったんですけど、玄関に入り込んだ革靴と柱を握る手が無言で訴えてる訳ですよ。「閉めたらどうなるか分かってんだろうな」と。3ヶ月だけでいいから取ってくんね〜かな〜」ってフレンドリーに話しかけてくるんですけど、後ろのチンピラがずっとメンチきってますからね。

でも、こっちは断る気満々で出てる訳ですから、そう簡単にはいと言うつもりはない訳で、ずっといらないですって言い続けてたんですよ。そしたらだんだん口調変わってきて、「こんだけ頼んでるのに駄目だっつーのか!?あぁ!?」とか言うの。百歩譲って恐喝ですよ。ほんで、前のおっさんが脅してくると、すかさず後ろのチンピラが片言の日本語で「ナンダテメー」って。なかなか無いですよ。笑いこらえながら脅されるってこと。何このコンビ。飴とムチ?

脅されるのは怖いんですけど、その愉快なチンピラのおかげで気が楽だったんで若干強気で対応してたら、おっさんがマジで切れてきましてね。しまいにゃ表出ろコノヤロー!って言うの。仮にも新聞の勧誘員ですよ。何で表出なきゃいけないんですかって言ったら、流石に言い過ぎたと思ったんでしょうね。「お、おぉ・・・」つって、こっちが優勢みたいな感じになったんですよ。お、これはいけるぞ!と思ったんですけど、そう簡単にはいきませんわ。何やったって帰る気ゼロ。

もうこれは無理だなと観念して、3ヶ月だけ取る事にしたんです。そしたら案の定、態度翻して「悪かったな〜」なんつって上機嫌で帰りましてね。ま、チンピラは最後までメンチ切ってましたけど。

で、その新聞は8月〜10月の3ヶ月ってことだったんですね。でも8月の頭、夏休みなんで1週間ほど実家帰ってたんですよ。で、部屋に戻ってきたら郵便受けのとこに5日分くらいの新聞が溜まってて。あの二人組が来たのが6月だったんで、すっかり忘れてたんですよね。8月から始まるってのを。そういや新聞取るんだったな〜と。あの時は嫌な思いしたけど、いざ新聞が来てみるとちょっと楽しみだったりするんですよね。新聞読む習慣つけようかな〜なんつって。

で、翌日朝起きて新聞来てるか見たらないんですよ。次の日も、その次の日も。結局、それ以降新聞全く来なかったんですよ。多分、集配所の方で今月から始まりますよ〜って電話をしたんだけど、私が出ない。配達しても溜まる一方で人がいる気配がない。ということで、配達打ち切ったと思うんですよ。まだ金払ってなかったんで、向こうにしてみりゃタダで5日分配達させられた訳ですよね。

ま、あの二人組を思い出して、ザマーミロとは思ったんですけど、こっちとしてはもう新聞読む気満々なわけで、口にくわえたゴムを引っ張るだけ引っ張られて普通に戻されたようなもんですよ。え? バッチーン! ってのないの? バッチーン! て、って感じ。踏んだり蹴ったりとはこの事かと。

自動販売機

エロ本の自動販売機ってあるじゃないですか。田舎によくある。トタンの小屋みたいになった中に販売機が並べてあったりするの。エロ本っていうか、AVやらアダルトグッズやら、果てはパンティーなんかも売ってるんですけどね。それが友人宅の近所にあるんですよ。周り畑ばっかのとこに。

その友人宅ってのが寿司屋でね。月に一回みんなで集まって飯食うんですよ。高校時代からの腐れ縁連中で集まって。

ある日、そこで飯食った帰りに何となくそのエロ本販売機のとこに寄ったんですよ。特に理由はないんだけど、なんか面白いことないかな〜くらいの軽いノリで。以前一回だけ入ったことあったんですけど、その時はエロっぷりがアホらしくて面白かった記憶があったんですね。パンティーが売り切れてたり。どういう事だと。

でも、2回目となると特に感動もなく。つまらんなーと思いつつ、何となく商品取り出し口のとこを端から開けて見てたんですね。小銭確認する感じで。ま、何もあるわけないんですけど、何かを期待して来たのに何もないまま帰るのも寂しいじゃないですか。

神様っているもんですね。あったんですよ。未開封のDVDが。及川奈央の。

私は特に及川奈央が好きってわけじゃないし、そもそもAVよりエロ本の方が好きなんですけど、この状況はやっぱテンション上がるじゃないですか。で、男なら間違いなく持ち帰るじゃないですか。しっかりと握りしめましたよ。DVDを。

その時ちょうど外に車が止まる気配がしたんですね。これは、このDVD忘れて取りにきた人かもしれんと思ったんですけど、私としては、もう遅いですよと。これは私のものですと。こんなもん言い切ったもん勝ちですからね。第一ああいうとこでコソコソするのって、ちょっと格好悪いじゃないですか。外には私の車止まってるから隠れようないしね。だからDVD片手に堂々と出てった訳ですよ。なんならDVD見せつけるくらいの感じで。

外出たら案の定、車が止まってるのが横目に入ってきたんだけどライトが赤いの。普通、車のライトって白いでしょ。その車から出るライト赤いの。おもいっきりパトカーですよ。赤いのクルクル回ってましたよ。

うそ〜んと思ったんですけど、こっちはやましいことしてる訳じゃないですからね。これはもう堂々と帰ってやろうと思って無視してたんですよ。そしたら警官が近寄ってくるんですよ。パトカーを私の車が出づらいように後ろに止めて。逃げれねぇ〜と思いつつも、一応運転席に腰を下ろすとこまでは行ったんですね。でも残念ながらドア閉める前に声かけられまして。

「どうも、こんばんは」って。このフレンドリーな感じが腹立つんですよ。「どうしました、こんな遅い時間に」とか言って。それはこっちの台詞だと。夜中にこんなとこうろつきやがって。第一まだ11時くらいですよ。そんな遅いですか?とか言ってお茶濁してたら「お買い物ですか?」って。買ってないんですよ。私は。でも思いっきりDVD持ってるからね。

一瞬迷ったんですけど、拾ったとか言ったら話しややこしくなりますからね。胸張って「はい」って言いましたよ。結局、免許提示させられて、確認のためかなんか知らんけど便箋みたいな紙に名前と住所書かされて。ま、それで終わったんですけどね。

当時28歳ですよ。切ないですよ〜。28にもなってエロ本の自動販売所から出てきたこと職務質問されるのって。家帰ってからとりあえずDVD見たんですけど、溜め息しか出ませんでしたからね。

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チャンポン

中学の時「チャンポン」ってあだ名の奴がいたんですよ。本名はK君としときましょうか。K君が何でチャンポンになったかというと、チャンピオンのこと噛んでチャンポンって言っちゃったから。中学生くらいの子供は揚げ足取って、そういうしょうもない事しつこく言い続けるじゃないですか。

最初のうちは馬鹿にする感じでチャンポンって呼んでるんですけど、しばらくするとそれが普通のあだ名として定着してくるんですよね。おかげで、たった一回間違えただけで、以後彼はチャンポンと呼ばれ続ける事になった訳ですよ。

暫くたったある日、担任の先生がホームルームでK君に事について話があるって言うんですよ。何かと思ったら、K君がチャンポンと呼ばれる事を凄く嫌がってると。もうチャンポンって呼ぶのやめなさいと。

その時は、誰もが普通にあだ名としてK君の事をチャンポンと呼んでましたから、最初は何を今更と思ったんですけど、確かに元々馬鹿にするとこから始まってる訳ですから、本人にしてみたら馬鹿にされ続けてる様なもんですよね。それを担任の先生が熱く訴えてるわけですよ。女の先生なんですけど、結構熱くなるタイプでね。イジメるようなことはやめなさい! 言われた人の気持ちを考えなさい! みたいな。

まぁ、こっちとしてもイジメてるつもりはなかったですから、分かりましたと。悪かったなぁということで、その日からK君のことは普通に名前で呼ぶようになった訳です。

それからまた暫くして、グランドホッケーの大会があったんです。世間的にはマイナースポーツですけど、私らの地域じゃメジャースポーツでね。その学校対抗戦みたいなのがあって、K君もその代表メンバーに選ばれてたんですよ。で、その試合を応援しましょうってことで、学年全体で応援に行ったんですけど、私は興味なかったんで、おぅ頑張れよ〜くらいの感じで見てたんです。

うちの担任の先生は例によて必死に熱くなって応援してたんですが、うちの学校のチームは負けてたんですね。1点差だったんですけど、攻められっ放しだし試合も終了間際で、もう駄目かな〜って。そんな時に、K君がボール奪って相手ゴールに向かって一気に切り込んでいったんですよ。

これ決めたら、まさにヒーローですよ。冷めてた私も、おもわず身を乗り出すドラマティックな展開に、先生もテンション上がり切ってしまったんでしょうね。グランドのK君に向かって「チャンポン行けーーーっ!!」って叫んだんですよ。

全員、えぇっ!?ですよ。お前が言うのかよ、と。あんなに必死に訴えてたのに。もう試合なんかどーでもよくなりましたよ。その後K君がどうなったか覚えてないですからね。