FUJI ROCK FESTIVAL ’10

行きたいとは思いつつ、費用的にも環境的にも敷居が高い感じがして、憧れの存在としてあり続けたフェス。フェスに行くようになって7年目にして、とうとう参加を決意いたしました。何せ出演者が素晴らしかったので。

噂に聞いてた通りなかなか過酷な環境だったけど、ホント行ってよかった。初参加なんですべてを堪能することは出来なかったけど、魅力に取り付かれてリピーターになる人の気持ちが分かりましたよ。フジロック最高。

1日目

2010年7月30日(金)

越後湯沢駅で新幹線を降りて、まず待ち受けていたのは会場までのシャトルバス待ちの列。まぁすんなり行けるとは思ってなかったけど、ここで1時間半も並ぶとは思ってなかった。そこから約40分かけて会場までいくと、バスを降りてすぐまた行列。今度はリストバンド交換の列だ。

これに約1時間程並んだ末、遂に会場入りだと思ったらゲートまでもう少し歩くことを知り、早くも心が折れかける。結局、駅に着いたのが9時半で会場に入ったのが12時半。11時半からのTHE BAWDIESにはギリ間に合うだろうと思ってた私が甘かったです。

トップバッターのSuperflyなんかとっくに終わってる中、SperflyのTシャツを着てリストバンド交換してたおっさんも、きっとこんなことになるなんて思ってなかっただろうな。

そんな訳で会場入りした時点で既に疲れきっていたので、入り口の近くにあるグリーンステージ前に腰を下ろして、演奏中のASHをのんびり鑑賞。ASHが終わり多少体力も回復したとこで、奥地へと向け移動開始した。

誤算

会場が広いことは覚悟していたけど、こんなにも坂だらけだとは思っていなかった。足下も石がゴロゴロした固い地面でとても疲れる。あっという間に再び体力を奪われつつ、フィールド・オブ・ヘブンに到着。目当てはフランスのバンドMUSTANG。事前にチェックした時、過去から抜け出してきたような50年代なビジュアルが面白そうだったんで見てみたんだけど、なかなか良かった。

曲も50年代R&Rなんだけど、歌がフランス語なんで響きが独特で面白かったな。ロックのフレーズで「ピャピャピャ」なんてものが出てくるとは思わなかった。FFのチョコボの曲のカバーもやったりして盛り上がった。

MUSTANGが終わったとこで、休憩もかねて一旦宿に行くことに。今回の宿はオフィシャルツアーで割り当てられたとこで、バスで20分程移動したエリアにある。その辺に沢山ある宿のひとつなんだけど、事前にGoogleマップで見た限り、バス乗り場から大体1km離れたとこにある宿。

まぁ実際は大したことないだろうと希望も込みで思ってたんだけど、歩き始めてすぐ周りに建物が無くなっていき、不安が押し寄せてきた。遠過ぎる。

夜だったら普通に肝試しできそうな田舎道を通り、そろそろかと思ったとこからキツい上り坂を経てようやく到着。おばちゃんが一人でやってる民宿で、到着するなり「電話すれば迎えにいってあげたのに。何で電話しなかったの」と軽く怒られる。いや、そんなサービス知らんし……。

2時間もあれば一休みしてゆっくり帰って来れると思ってたけど、そんな時間もなく部屋に荷物を置くと、おばちゃんに送ってもらいつつ会場にとんぼ返り。なんとか2時間で戻ってくると、待っていたのは雨だった。

レインウェアを着込み、JAGA JAZZISTを見るためホワイトステージに移動しようとしたら、グリーンからホワイトへ続く道が大渋滞。全く動いていない。仕方なく並んでいると、しばらくしてこの先のどこかで子供がひとり迷子になったとのアナウンスが流れた。それが原因かどうかは分からんけど、この渋滞のせいでまたしても無駄に体力を奪われてしまった。

なんとかホワイトに辿り着いたものの、人多いし、まともに座れるとこなかったし、疲れでまともに音が耳に入ってこない。なので、JAGA JAZZISTの演奏を少し聴いたあとは休息を求めてグリーン方向に逆戻り。

KEN YOKOYAMAが演奏中のグリーンステージを抜けると、フードエリアのオアシス到着。腹ごしらえして体力を蓄えようと、黒麻婆丼を注文したところ何故か赤麻婆丼が出てきた。値段一緒だしまぁいいかと食べてみたら、これが笑えないくらいの激辛。辛いの苦手な俺としては投げ捨てたい衝動にも駆られたけど、残すのもったいないので悶絶しながら無理して完食。地獄絵図と化した口の中を、どうにかしたい一心で冷えたキュウリを購入して何とか一命を取り留めた。

あとからTwitter見たら、ケンさんが「STAY GOLD」を演奏したって盛り上がってたけど、そんなの全く気づかなかった。多分俺が生命の危機を感じてるときのことだったんだろう。

自然の怖さは覚悟してきたけど、まさかこんなとこに敵が居たとは……。

最高潮

口の中の火事も何とか収まったころ、続いてグリーンステージに登場するのはTHEM CROOKED VULTURES。このために来たと言っても過言ではない。が、この時点ですっかり足には疲労が溜まっていたし、雨も降ったりやんだりを繰り返してレインウェア脱げない状態だったし心折れかけてた。ちょっと後ろでのんびり見ようかなんて気持ちにもなったけど、何しに来たんだ!と自分を奮い立たせてモッシュピット突入。

ほぼステージ正面の10列目あたりに陣取ると、ひたすら無心で耐えること40分近く。特にSE等もないまま、メンバーがおもむろにステージの登場してきた。

ジョシュが、デイブが、そしてジョンジーが目の前に居る。それだけでもう倒れそうです。レインウェアがサウナスーツの様で着たままだったけど、そんなの関係なく1曲目の「No One Loves Me & Neither Do I」が始まった途端にモッシュ。近くに居たテンション高い外人が周りを煽ってたから、負けじと飛んでやった。もう足疲れてるとか関係ないし。

演奏はとにかく凄かった。曲の中心にあるのがドラムなんだけど、それでありつつ他のメンバーの存在感も確立されてて、全員主役でありつつバンドは1つにまとまってる。とにかく濃い。もの凄いロック純度。なんつーか化け物です。この人たち化け物。

特にデイブのドラムには度肝抜かれた。何でこの人フーファイでボーカルやってたの?って疑問に感じてしまった。ドラムうま過ぎ。

そしてメンバー紹介の際もひときわ歓声の大きかったジョンジー。もう格好良すぎ。演奏も当然かっこよくて感動したんだけど、曲の途中のジャムセッションでドラムと掛け合いになったとき、ベースで「移民の歌」のリフをちょっと弾いていたずらっぽく笑ってみせたり、セッションを続けようと思ったらジョシュが歌い始めて「おっと」といった感じで肩をすくめて笑ってたり。そんな、おちゃめな姿が何だか身近な人に感じれて感動したなぁ。

気になったのが、ジョンジーが1曲目で使ってた楽器。形的にはギターなんだけど、ネックが三角形で妙にぶっとい。三角形の上側を向いた面には普通に弦があって、下側の面にはカオスパッドらしきものが付いてる。それをスライドギターの要領で上から手を乗せる形で弾いていた。暴れてたからよく見てなかったけど、カオスパッドも使ってたのかな。あんな形初めて見たわ。面白い楽器だった。

サポートギタリストのアランによるソロでは、トレモロアームをドラムスティックのように本体に差し込んでるシールドのとこに叩き付けて、打楽器のように扱ってたのも面白かった。

楽しくてあっという間に終わっちゃったけど、とにかく最高としか言いようがない。暴れすぎたせいか、途中でさっき食った麻婆丼の香辛料が原因と思われる胃からの異様な込み上げもあったけど、そんなのどーでもいいよ!と思えるくらい最高。無理してでも単独公演行っとけば良かったと後悔する程よかった。初日にして早くも自分の中のベストアクト決定しちゃいました。

1日目の終わり

レインウェア着たままモッシュしてたから、中汗まみれで濡れてるし、途中雨降ったからフード取ってた頭も濡れてるし。何より足が限界だったので後ろに下がろかどうか迷ってたら、あれよあれよと人が増えて身動き取れなくなったので、結局そのまま待機。

疲労が一周回って逆にちょっと楽になってきた頃、遂にMUSE登場。MUSEは過去の単独もサマソニでも、なんやかんやで見れてないので、とうとう出会えたって感じ。

まずは「Uprising」で始まると思ったら、「Exogenesis : Symphony Part 1」から静かにスタート。荘厳な雰囲気の中、ドラムのドミニクはなぜか銀の全身タイツにヘルメットという謎の出で立ち。最初はヘルメットを被ってたから辛うじてダフトパンク的なかっこよさがあったけど、1曲目が終わりヘルメットを取ると、もはや完全に銀のモジモジ君。なんだこれ。

2曲目で仕切り直すように「Uprising」が演奏されると、そこから「New Born」「Supermassive Black Hole」「Hysteria」など疲れた体に酷なセットリストで、遂には膝に鋭い痛みが。やむなくあんまり跳ねないようにしながら上半身主体で踊ることに。

アンコールのラスト「Knights Of Cydonia」が終わると、初日とは思えない満足感と、初日とは思えない疲労感が一気に襲ってきた。当初はもう少しいろいろ見て回ろうと思ってたけど、そんな余裕は皆無だったので、足の裏に走る激痛と戦いながら一路宿へ。シャトルバスを降りたのが1時くらいだったので、宿のおばちゃんを呼び出すのは気が引けたんだけど、堪え難い疲労感に背に腹は代えられんということで迷わず呼び出した。

宿はツアーの安いコースだったので素泊まりの相部屋。布団は6つ置いてあったけど、部屋に入ると2人が帰ってきてて、既に1人はご就寝。起きてる方の人も、軽く話をしたあとは、あっという間に寝てしまった。まぁ当然だろう。自分も寝たいところだったけど、疲れすぎてなかなか寝付けない。

そうこうしてるうちに、もうひとりの人が帰ってきた。寝ようするタイミングで話しかけてくるその男性に、若干ペースを狂わされながらも、いつのまにか眠りにつき、気がついたら朝が来ていた。

起き上がろうとした俺を待ってたのは、信じがたい筋肉痛だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です