ロックの学園2010

毎年、神奈川県三浦市にある廃校(旧神奈川県立三崎高校)で開始されるで開催されるロックの学園。連休の3日間行われるうち前2日間行ってきました。本物の学校を使ってるので、まさに学園祭の雰囲気で楽しかったです。

1日目

2010年3月20日(土)

京急の終着駅三崎口から、のどかな風景を見ながら緩やかな上り坂を20分程歩くと、校長である忌野清志郎のマスコットであるひとはたウサギと、本校の校訓「愛し合ってるかい?」の垂れ幕がお出迎え。

学園内の教室ではいろんなイベントが行われてるんだけど、メインは2つ。体育館ライブとロックの授業。付いた時には、1発目のライブの開場時間だったので校内探索の前に体育館直行。

体育館ライブ〜TRICERATOPS教諭

本日の1発目はTRICERATOPS。1番後ろのブロックだったけど、所詮高校の体育館なので遠いってほどじゃなかったですね。まだ昼間なせいか人も少なめでかなり見やすかったです。後方ブロックはスカスカだったし。

この日はNONA REEVESの郷太さんがゲスト出演することが公表されてたけど、その前におもむろに始まったのはフジファブリックの「陽炎」。CDJでも披露したけど、また聴けるとは思ってなかったので嬉しかった。フジファブリックはこの学園とも縁があったからってことだったんだろうけど、この曲はもうトライセラにずっと歌い続けてほしいですね。

そのあとは郷太さん登場。西寺郷太と和田唱と言えば共にマイケル好きで有名ということで、挨拶代わりとばかりにマイケルの「Rock with you」を披露。さらに、折角だからトライセラの曲も一緒にやろうと「Groove Walk」。始まる前に、トライセラの「The Captain」のことを「キャプテン・オブ・ザ・シップ」と言い、「あ、これは長渕だった」と素で間違えて動揺する場面もあって笑わせてもらいました。

この日は更に、終盤でRCの「キモちE」のカバーを披露。“出張中”の忌野校長に、愛し合ってますよ!とメッセージを送ってた。

ロックの授業〜加藤ひさし教諭

ライブが終わると、今度はロックの授業。今日の1時限目はコレクターズ加藤ひさし教諭による授業。授業が行われる教室への入場抽選には間に合わなかったので、モニタの置かれたパブリックビューイング教室で受講。

過去に物理学や国語でロックと歌謡曲の違いを語ってきた加藤教諭ですが、今回は天文学でロックの凄さを教えてくれるとのこと。もうとにかく、バカバカしくてくだらなくて面白かったですね。

日直であるGOING UNDER GROUNDの松本素生が、まさかの遅刻により10分遅れでスタートすると、まずは太陽系や銀河系を説明した流れから、アキバ系と渋谷系を説明。太陽系は中心に太陽があって水星、金星、地球とあるけど、アキバ系はAKB48が中心にいて周りにアニメやメイドがあってとか、渋谷系はピチカートファイブを中心にフリッパーギターの周りをカヒミ・カリィが回っててなど、のっけからネタ満載。

去年の授業は50分喋ったのに放送時間10分だったことに落胆したため、今回はどこ使われてもいいようにと、相当気合いの入った濃い内容。ちなみにコレクターズは大阪で売れる心斎橋系という新ジャンルで独立していたんですと。

そして本題、ロックの壮大さを証明するためにピックアップしたのは、ラッシュの「シグナスX-1」という白鳥座のブラックホールことを歌った曲。

まずラッシュというバンドは、3ピースなのにダブルネックやフットキーボードを使って9人分の仕事をしていることを説明。これはスカパラと同じ人数であり、AKB48に置き換えると5.3ラッシュであると、新しい単位まで作成。この数値が低い程凄いんだと言ったとこで、日直からコレクターズは何ラッシュなんですかと突っ込みが入ると「痛いとこつくね。そこは勘弁してくれ」と苦笑い。

続いては地球からシグナスX-1までは6000光年であるという点を取り上げ、これを尾崎の盗んだバイクで行くとしたら何年かかるかを計算ではじき出す。

尾崎のバイクは加藤教諭の授業におなじみのアイテムで、過去いろんな基準に使われてきてる。でも今回はそれだけじゃなくて、缶コーヒーで温もりを得るという2番の歌詞に注目。「十五の夜」発売当時の冬の気温が○○度で、人が温かいと感じる温度が○○度だから、缶コーヒー1本では○○分しかもたない。よって、ここまで行くのに缶コーヒーは○○本必要などと、実にバカバカしい計算を紹介。まじめに計算してきてるとこが素晴らしい。

これに対して歌謡曲がいかに小さいかを証明するために取り上げたのは、中島みゆきの「地上の星」。歌詞の中では「風の中のすばる」や「草原のペガサス」など登場するが、見つからないと言っている。そこで加藤教諭が探し出したという。

「風の中のすばる」は車のスバル、「砂の中の銀河」は鳥取にある料亭の銀河の間、「街角のヴィーナス」は貝ではなく餃子の皮に包まれた宇都宮の餃子銅像、「水底のシリウス」は鴨川シーパラダイスのイルカのシリウスくんなどと、よくぞ見つけてきたというものばかり。

それらの場所まで尾崎のバイクだと何時間だとか、「歩こ〜歩こ〜」のトトロのサツキちゃんが歩くと何日だとかを計算して、全部近くにあるものばかりだと証明。その合間にも、ちなみに缶コーヒーは何本必要だとか、365歩のマーチのペースだと何年掛かるからチータは何回死ぬとか、小ネタを挟むことを忘れない周到ぶり。

中島みゆきは、何故これらを見つけられなかったかというと、歌詞の中にあるようにツバメに探させてるのが間違いとのこと。ツバメは鳥目だから夜は見えないし、渡り鳥だから継続捜査が無理。これでは犯人が見つからない、つまり「ホシが見つからない」という見事な落ちがつき、日直も思わず突っ込む程の今日一のドヤ顔に。

最後はおなじみの歌のコーナー。「地上の星」を今やった内容を使った替え歌にし、「風の中のすばる〜鳥取の銀河〜みんなそばにあ〜った〜」と歌って授業終了。

授業の終わり、あまりに見事な落ちに、その落ちはいつ思いついたんですかと教頭から質問が出ると、加藤教諭から昨日だというまさかの回答。それまでは計算ばっかしてて、これじゃあ退屈な内容になっちゃうからやばいと思ってたところで思いついたんですと。その時のドヤ顔たるや。

こんだけ書いても書き足りない程、完成度の高い充実した授業でした。DVD化してほしいくらい。さすが加藤教諭。

体育館ライブ〜泉谷しげる教諭

授業終わりで休む間もなく体育館直行。今度は泉谷しげるのライブ。

開始早々「俺を呼んだからには覚悟しやがれ!」と、いつものように怒鳴りつける。「眠れない夜」など演奏し、歌詞を飛ばしながらも「Y染色体のうた」を歌い終えたところで、ゲストのLOVE PSYCHEDELICOを呼び込み。何でしょうかこの組み合わせ。登場するなりボーカルのクミにカワイイ、色っぽいとデレデレ。あとでヤラせろと言う泉谷に、客席から「やらせろとか言ってんじゃねー!」と突っ込みが入ると、「うるせぇ!テメーも本当は言いてぇんだろ!ザマー見やがれ!」とやり返す。

まずは3人でジョン・レノンスーパーライブに出演した時にやったという「WORKING CLASS HERO 」を演奏。更にバンドを交えてビートルズの「悲しみはぶっとばせ」を演奏。サビの「Hey! You’ve got to hide your love away」というとこを客に歌わせるも、全然足りないと途中で演奏をストップ。そこらへんのババァはどうせ英語なんか出来ないんだから最初の Hey! だけでも歌うようにと指導。

しつこくババァババァ言ってたら、さっきの客から「ババァとか言ってじゃねぇ!」とまたしても突っ込みがあり、すかさず「うるせぇ!コノヤロー!」と返す。更には、懲りずにクミにヤラせてくれと言い続ける泉谷に、その客から三たび突っ込み。3回目に至っては客が言い終わらないうち、というか言い始めたくらいで「うるせ!」と返していた。もはやただのコント。

続けて「春夏秋冬」、そして「雨上がりの夜空に」を披露したあとは、おなじみ「野生のバラッド」。サビの「Oh なんてお前に伝えよう」ってとこは、歌わせるだけじゃなくてジャンプを要求。最終的には連続ジャンプで飛び続けろと言ったんだけど、これには言った本人がキツ過ぎるとすぐさまダウン。

それでも最後はフロアに降りてきて、恒例のスキンシップタイムで完全燃焼。本人疲れすぎたせいで、俺のいるブロックのとこまでは来てくれなかったけど、収録してるNHKのカメラに向かって「覚せい剤やってます」「使えないようにしてやる、ザマーミロ!」などと暴言を吐いたり、相変わらずエネルギッシュなステージで楽しませてもらいました。

ちなみに、紹介する時からずっと「ラブサイコデリコ」と言ってたんだけど、後半でナオキに訂正されると「バカヤロー、使えないようにしてやったんだ」などと言いつつ恥ずかしそうに照れ笑いするあたりが可愛いですな。

ロックの授業〜西寺郷太教諭

本日の2時限目は日本一マイケル・ジャクソンに詳しいミュージシャンといわれ、最近マイケルの本も出している西寺郷太教諭による授業。内容は当然マイケルのこと。

今回も、やはりパブリックビューイングで受講。日直は先ほどステージで共演したとトライセラの和田唱。

これは軽い気持ちで見始めたんだけど、本当に素晴らしい内容でした。

ジャクソン5時代からの歴史を紐解いていって、何故人気が出たのかとかを紹介して言ったんだけど、まずこれが分かり易くて面白い。合間では日直とのセッションでマイケルの曲を披露したりして実に楽しかった。

そしてマイケルと言えばやはり児童性的虐待疑惑。これによってイメージはガクンと落ちてしまったんだけど、問題は既に事実は明らかにされ完全に無罪だと証明されたにもかかわらず、マスコミがそれをまともに報じないことだと。郷太さんも最近取材をよく受けるけど、まともに掲載してくれないから本を書いたんだって。

自分はたまたまマイケルが好きで調べたからこそ、こういうことが分かるけど、世の中には知らないことが沢山ある。そういうものに対して、人の話を鵜呑みにするんじゃなく、常に自分にとっての真実を追求することこそがロックである、と。

この言葉は胸に強く響きましたね。体制に対する怒りや反抗の力がロックのエネルギーだみたいなことが言われることがあるけど、要するにこれなんだと。ただ怒るんじゃなくて真実を追究することが力になるんだと。座右の銘がひとつ増えました。

授業終了後、感動した旨を伝えたくて教室前で待ってたけど、結局奥の方へ行ってしまって会えなかったのが残念だったかな。代わりと言っちゃ何だけど、去り際の和田唱さんと握手してもらいました。さりげなく。さら〜っと。こういうのも、この学園の魅力のひとつ。

ちなみに、授業開始前に日直が入り口に黒板消し仕込んでたんだけど、あれどうなったんですかね。モニタで見てたから、結局どうなったかよく分からなかった。

体育館ライブ〜山崎まさよし教諭

本日最後のライブは山崎まさよし。以前見た時は弾き語り形式だったので、バンド形式のライブを見るのは初めて。

体育館に入ってまず人の多さに驚く。さっきまではスカスカだったのに、後ろのブロックまでいっぱい。更に、ほとんどおばさん。何これってくらい。「年配の方」とかじゃなくて「おばさん」ってのがしっくり来る雰囲気。多分、場所が学校なだけに尚更そう感じるのかもしれんけど。

登場するとまずはファンキーなセッションからスタート。これがかっこ良くて俺は一番後ろで踊ってたんだけど、お客さんびっくりするくらい動かず。基本的にサビで手を振るみたいなお約束的ノリは元気いいくせに、そこ以外は動きが少ない印象だったな。まぁ、俺はかまわず踊ってたけど。

ステージはどの曲も大胆にアレンジしててかっこ良かったしよかったと思うけど、今回のライブは忌野清志郎校長トリビュート企画として、忌野清志郎校長の遺した数々の名曲を演奏するってことだったのに、やったのは「僕の好きな先生」と「トランジスタラジオ」、それに「雨上がり」を曲間に少しだけやっただけ。これはちょっと拍子抜けだったな。もう全面的に清志郎の曲をやるのかと思ってた。何なら泉谷さんの乱入とか。

山崎のバックをやってるゲンタさんとキタローさんは、清志郎のバックもやってた人だけに尚更もっと聴きたかったんだけど。終了後は、客もしばらくアンコール要求してたんだけど無し。これもまた拍子抜けだったな。

それから、山崎まさよしといえば、このライブの数日前に結婚の報道があったけど、途中会場から小さい女の子の声で「けっこん、おめでとー!」と声が上がって、天使からの祝福いただきましたとお礼を返す場面があった。まぁ親に言わされたんだろうけど微笑ましかったですね。

終了後はさっさと下校。結局1日目はライブと授業の往復で終了。周辺情報が分からなすぎて不安だったので、とりあえず横浜まで戻って夜を明かしました。

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