ハルカトミユキ +5th Anniversary SPECIAL @ 日比谷野外大音楽堂

3年連続で、もはや恒例感でてきたハルカトミユキの野音ライブ。今回は直近で出たアルバム「溜息の断面図」が傑作だったもんで、ぜひライブ行きたいと思ったところに都合がついたので急遽行くことに決定。

ハルカトミユキのライブは去年の野音で見て以来の約1年ぶりだったけど、+5thのプラスが示す通り確実に前進し続けていることを感じる良いライブでした。

当日券買って会場入りすると、とりあえず一番後ろの席に座りまったり見ることに。後方の自由席は余裕で空席ありの状態で、客の入り具合は1年前の野音と同じか、ちょっと少ないかな?くらいの印象。ステージバックには巨大スクリーンが用意されれ、ハルカトミユキのMVが流されている。

前回の野音では雨が降って今回も台風の接近が懸念されていたけど、見事な青空の中、定刻18時をしばらく過ぎたところで開演。
今回はハルカトミユキの2人にギター、ベース、ドラムの3人を加えたバンド編成。「世界」で幕を開けると、5周年のお祭りだということで「DRAG & HUG」「伝言ゲーム」とアップテンポの曲を次々投入して盛り上げる。

新譜からの「インスタントラブ」ではギターを置いたハルカがちょっとした振り付けを披露し、ポップな曲調と相まってさながらアイドルのような雰囲気。でも歌ってる曲は安易に体だけ求めあうような恋愛に冷めた内容というひねくれ具合が、実にハルカトミユキらしくて良い。

 

ひとしきり盛り上げたあとは、バンドメンバーが一旦捌けて、しっとりとした2人だけのパートに突入。盛り上がっていた客もひとまず席につき、静まった会場に夏の終わりを感じさせるヒグラシの声が響く。
この鳴き声、実にタイミング良く流れてたからSEだと思ったんだけど、マジ鳴き声だったのかな? いずれにしろ雰囲気にあった演出で、天然だったら神がかってる。

デビュー前に初めてレコーディングしてた日に東日本震災が起きて、歌ってなんなんだろうと考えたけど、歌で人を救おうとかいうわけではなく、歌いたいとか歌を聞きたいと思う気持ち自体が希望だと思うって話はとても印象的だった。

そんな流れから演奏したのは、震災を受けて感じたことを歌にしたという「絶望ごっこ」。俺がハルカトミユキを聞くきっかけになったのはフラカンのトリビュートアルバムに参加した「感情七号線」のカバーだけど、完全にハマったなってのはその後で聞いたこの曲。ライブで聞くのは初めてだったから嬉しかったけど、この曲の誕生にそんな経緯があったとは知らなくて、聞き慣れたはずの曲も新鮮なものに聞こえた。

2人で初めて作った曲だという「夏のうた」を演奏すると、続く「宝物」では途中からバンドメンバーがひとりまたひとりと参加しはじめ、再びバンド編成に。徐々に音が広がっていくのが感動的で素晴らしかった。

その後、11月に公開の映画用に書き下ろしたという新曲「手紙」を披露。ステージ中央に椅子とテーブル、そして電気スタンドが用意され、薄明かりの中でハルカが椅子に腰掛けながら手紙を読むようなスタイルで歌われたその内容は、亡き親を思いながら綴った手紙を思わせるようなもの。全く内容も知らない映画だけど、情景が浮かんでくるような素敵な歌だった。
ただ、後ろのスクリーンに映し出されていた膨張縮小を繰り返す多宇宙みたいなイメージが意味不明だったな。何かミトコンドリアみたいなやつ。あれなんなの?

更に、そのまま椅子に腰掛けながら朗読劇のようにハルカが語りはじめ、幸せなときは忘れて、辛い時に思い出してほしいと演奏されたのは「夜明けの月」。
語りの中にあった、人はいろんなことを忘れてしまい覚えてるのは些細な一瞬だけだけど、今がそんな一瞬になればいいと思ってるという言葉がとても印象的だった。実際のところ、忘れられない瞬間って何か失敗したときとか嫌な瞬間も多いんだけど、そんなときのためにこの歌があるんだろう。

 

しっとり聞かせるパートが終わると、会場には子供が歌う「かごめかごめ」が流れはじめた。無邪気にも聞こえる子供の声がギターの不協和音と相まって不気味さを醸し出し、そのまま「わらべうた」へと突入。

続く「近眼のゾンビ」ではハルカが拡声器を手にして歌い、ミユキはギターを演奏。ミユキがステージを自由に動き回り、ジミヘンばりに膝をついてのけぞったりと奇人ぶりを発揮すると、ハルカも負けじと拡声器2台持ちでサイレンを鳴らし、ステージの雰囲気がガラリと変貌した。

俺の斜め前にいたキャップ被った人が最初からひとりでノリノリになってたんだけど、ステージのカオスっぷりに「ふぉー!」と今日イチの大興奮。更に斜め前の方に別のノリノリおっさんがいたんだけど、こっちの人は酒を片手にし、盛り上がってくると何故かジッポに火をつけるという謎のシステムを発動。本当にアルコールだけですか?と疑いたくなる独特な盛り上がりを見せ、こっちはこっちでカオス。

続く「終わりの始まり」で2人の興奮は頂点に達したようで、Mr.キャップは一緒に熱唱。曲が終わるとMr.ジッポが明らかに興奮しながらMr.キャップに突進していって、え?なに?喧嘩!?と一瞬緊張が走る中、「いぇぇぇ!!」とハイタッチ。明らかに初対面である赤の他人の突然のハイタッチ。そのまま席に帰るMr.ジッポ。
なにこれ!何が起きたの?! 何か知らんけどお前ら楽しそうでいいな!おい!

更に「バットエンドの続きを」「ニュートンの林檎」と続き、盛り上げきって終わると思いきや、最後に披露したのは前回の野音で演奏した「LIFE 2」。
前回の野音でしか演奏されてない曲で、今回のアルバムはこれ目当てでライブ音源付きの初回盤を買ったほどの名曲。改めて生で聞くことが出来て感激であります。野音でしかやらないなんてもったいない。

 

アンコール1曲目は「種を蒔く人」。スクリーンには撒いた種が徐々に芽吹いていくイメージ映像が映し出されていたんだけど、終盤で葉から落ちた雫が落ちて弾けた光が、ミラーボールの光と合わさってスクリーンを飛び出し会場全体に広がっていくように見えて感動的だった。

その後、先程披露した新曲の詳細や来年まで続くツアーも発表され、まだまだ前進し続ける期待を持たせて、最後は「Vanilla」で締め。
客出しBGMとして新曲「手紙」が流される中、スクリーンにはハルカトミユキの「ありがとう」という直筆コメントが映し出されている。普段ならライブ終わったらささっと帰るところだけど、スクリーンを眺め、曲を聞き、しばし余韻に浸ってから会場をあとにした。期待以上の素晴らしいステージだった。

セットリスト

  1. 世界
  2. DRAG & HUG
  3. 伝言ゲーム
  4. インスタントラブ
  5. Sunny, Cloudy
  6. Pain
  7. ドライアイス
  8. 絶望ごっこ(2人のみ)
  9. 夏のうた(2人のみ)
  10. 宝物
  11. 手紙(新曲)
  12. 夜明けの月
  13. わらべうた
  14. 近眼のゾンビ
  15. 終わりの始まり
  16. Stand Up, Baby
  17. 振り出しに戻る
  18. バットエンドの続きを
  19. ニュートンの林檎
  20. LIFE2

アンコール

  1. 種を蒔く人
  2. Vanilla

多分こうだと思うけど、違うかも。

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