FINAL FANTASY XII 総評

やっと終わりました。何か終わった気しないですけど……。

今回の評価は、100点満点中40点ってとこですかね。今回は、あの名作「ベイグラントストーリー」を作った松野泰己氏が作るFFということでかなり期待してたんですが、物語が薄いです。全体の雰囲気とか世界観は好きなんですけどね。後から知ったんですが、途中で松野さんは降板してたそうで……。

今までのFFの集大成かつ、新しいFFの啓示にするつもりだったと思われる今作ですが、下手したら私のようなファンすら離れかねないものな気がします。ちょっと不安です。

※以下ネタバレ満載です。

今回のFFは、FF2のリメイクですか? 国を追われ帝国に復讐という図式は、まさに2そのもの。昔からのファンは、レダスが破魔石を壊すシーンでヨーゼフを思い出したのではないでしょうか。あのスキンヘッドがヨーゼフを意識してるようにも見えるし。

ヴァンとパンネロは2での主人公たち、フリオニール、あるいはレオンハルトとマリアってとこでしょうか。2では彼らと同じ立場の、いわゆる一般人4人が主人公でしたが、今回は2でのヒルダ王女もアーシェとして前線で戦う立場に。バッシュはミンウでしょう。

バルフレアとフランは、盗賊のポールや海賊レイラという見方も出来るけど、まぁこれは新しいキャラということにしといた方が無難ですかね。ヴェインは間違いなく皇帝ですね。

そんな感じで、人気のあった2を超える新しい2を作ろうとして失敗した感があります。

前々作の10は、それぞれのキャラに旅の明確な目的と理由があったのに対して、今回はそういった物語の核となるはずの部分の描き方が非常に薄い。ヴァンとパンネロに関しては、描き方というか、そもそも物語の中心に置く意味が分からん。特にパンネロは、ヴァンが心配だからということで一行に付いてくるけど、それだけで最後まで普通に一緒にいるのはどう考えてもおかしい。

物語の中に、変に恋愛を絡めなかったのは好感が持てるんですが、パンネロがヴァンに付いてくるからには、それなりに二人の絆というか関係をしっかり描いとかないとダメだと思うんですよ。お互い大事に思ってる存在だというとこを。そういう意味でのラブシーン的なものは必要だった気がします。

というか、周りの大人が何故この二人の同行を許したのか。バルフレアやバッシュたちが、途中で危ないから来るな言うことは出来たはず。同行するとしても主人公として扱うには弱すぎる。バルフレアは自分のことを主人公だと言ってたけど、実際主人公はバルフレアかアーシェであるべきで、ヴァンを主人公にしたいなら、もっと行動理由を明確にしなきゃプレーヤーは感情移入しずらいです。

バルフレアとフランが何故組んでるのかも謎のままなのも寂しいですね。バルフレアは登場した時から好きなキャラだったので特に残念です。ヒュムとヴィエラが組んでるなんて珍しいという台詞もあったのに。他にも伏線張ったり、振るだけ振って放ったらかしなのが多すぎます。ロザリア王国のアルシドは何だったんでしょうか。オキューリアは破魔石が壊れた後どうしたんでしょうか。個人的にはダラン爺も、もっと物語に絡めて欲しかったです。

こういう物語では一番大切な、敵役であるヴェインとシドの過去が薄っぺらいのも問題ですね。彼らは人間の手に歴史を取り戻すことに、何故あそこまで固執したのか。シドが変わってしまったのは、単純にヴェーネスに取り付かれていたからということなんでしょうか。そうだとすると、全ての元凶はヴェーネスということになりますが、今度はヴェーネスの行動の理由がよく分かりません。ヴェーネスにとって歴史を人間の手に取り戻させるという行為は自らの存在を否定することであり、言わば内部告発した正義感の強い良い奴だったという見方も出来ます。

ヴェインの場合は実の兄弟を断罪した過去があるということで、ヴェーネスとは関係なく昔から力や権力といったものに魅せられていたんだと思うんですが、何故そうなったのかは謎だし。

何が善で何が悪かはその時代や視点によって変わるもので、この物語自体は結構深いものだと思うんです。システムとか見ても基本的にリアルな世界観にしたかったんだと思うんですが、リアルにしようとするあまり淡白になりすぎた感じ。特に終盤の盛り上がりの欠けっぷりは酷いです。序盤の緩い感じで最後までいっちゃってます。それぞれのキャラのバックボーンをしっかり描いていれば、いい作品になったと思うんですが、いかんせん描き方が下手でしたね。

国と国の争いという規模の大きい話であっても、それを紡いでいるのは人間であって、人間がしっかり描かれていない物語は薄っぺらいです。

ここまで薄っぺらいと、あの綺麗なムービーも返って邪魔ですね。ああいうムービーがなくてもベイグラントやメタルギアのように素晴らしいゲームはできます。今までは綺麗なグラフィックを売りのひとつにしていたFFですが、ムービーなしというのもアリだと思います。ゲーム自体が面白いものに仕上がっていればファンは付いてきます。

では今回何が良かったかというと、戦闘システムですね。これは楽しかったです。ベイグラントストーリーの戦闘を進化させた感じ。通常移動と戦闘シーンの切り替えがないのもストレスが溜まらなくていいです。その気になればひたすら逃げ回ることが出来るのも嬉しいですね。

ライセンスボードはちょっと微妙かな。右上の魔法やら技やらのボードはいいんですが、武器や防具に関しては2のように熟練度制にした方が良かった気がします。ライセンスポイントを使って熟練度を上げてくみたいな。今のだと全ての武器とかがバレちゃうから、エクスカリバーが最強だと思ってたら実はもっと強いラグナロクがあった! みたいな感動がないでしょ。ボード見て「あー、それが最強の剣なんだ」とか。ちょっとつまんないです。

とりあえず今は、もう一回頭からやりたい気分です。

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