SUMMER SONIC 05

2日目

2005年8月14日(日)7:30 幕張メッセ

朝5時にメッセを追い出された後、やはり去年同様メッセ脇のバス乗り場のベンチに寝転び、開場の9時まで時間をつぶす。7時半頃、特にやることもないのでメッセの入り口へ向かうと物販には既に行列が。まるで一昔前のドラクエの発売待ちだ。前乗りしてるくせに完全に出遅れた。2日目はタオルとTシャツを買うとこからスタートしようと思ってたのに……。

嫌な予感を感じつつ会場入り口へ向かうと、やはりここも行列。どうせならこっちに並んで中の物販に行った方がいいと判断し、これ以上長くなる前に最後部に腰を下ろす。

結局、中の物販でも当然のように並んだあと、タオルとTシャツ、そして記念ではなく純粋に生活用品としてサマソニ靴下を購入。着替えを済ませるとロッカーに荷物を預けて、ぶっかけうどんを食す。何がぶっかけなのか分からないので、とりあえず薬味として置いてあった梅肉をぶっかけたら、梅の味しかしなかった。

11:00 ソニックステージ

2日目のオープニングは、ソニックステージにてBE YOUR OWN RET。アメリカのティーンズバンドで、ボーカルが女の子の4ピース。ちなみに彼女は現役女子高生。1日目のサブウェイズ同様、スキルは大したことないけど若さの勢いがいい。序盤、ベースの弦が切れて復旧がもたついたけど、その後はもうノンストップ。ボーカルの子のダンスが、とにかくキュート! 声もキュートだしパワーもある。かなりツボだ。今後に期待したい。

終了後すぐアイランドステージへ移動し、FREENOTEを見る。このバンドもボーカルが女性の4ピース。こちらの歌姫もキュートな声をしてるけど、若干ハスキーでパワーがあるというより元気いっぱいという感じ。踊れる曲もあって楽しかった。

13:00

FREENOTE終了後は、特に目的もなかったので何となくロックステージへ移動しALEXISONFIREを見に行ってみたけど、疲れた体にデスボイスが響き、押し出されるように飲食エリアへ。折角だから芸人が出るサイドショーを見ることにする。では感想をパパッと。

ジョンレノソ。「学校へ行こう」に出てる人なんですってね。見てないから知らないんですけど。要はあるあるネタですか。嫌いじゃないです。あるあるネタ好きなんで。ただ最近この手の芸人さん多い気がするので、こういう人見てると埋もれてく気がしてちょっと切ないですけど。

ダーリンハニー。フィリピン人の女のネタ。片言で話すフィリピン人の真似がやけにうまくて雰囲気出てたけど、コント自体は設定も内容もありがちな感じ。いまいち。

どきどきキャンプ。全く笑えず。全然どきどきしねーなーと思ってたら、最後の告知で「今度ワンマンライブやります」とのこと。え? それでワンマンやるの? どきどき!

井上マー。もはや説明不要の尾崎ネタ。序盤、前にいた客をいじる。尾崎豊ってキャラを考えると、みんなに訴えかけるみたいなことで客いじるのは当然って気もするけど、ひたすら自己陶酔のイメージがあったんで何か意外だった。それにしても長い! 絶対持ち時間オーバーしてるわ。あと、ホントに尾崎だけでやってくつもりなんだろうか? 正直この人フリートーク駄目っぽいんで、ネタで頑張ってほしいな~と思ってるんだけど、大丈夫だろうか。

ヤンさんとゆかいな工作員たち。去年はヤンさん1人で、町中で人が話してる公衆電話勝手に切ったり、当時話題だった白装束集団の真似して警察に連行されてたりしたVTRを流してて、ちょっと面白かったのに、今回はゆかいな工作員たちが加わったことで、ただの電撃ネットワークの偽物に成り下がる。というか電撃のパクリ芸。つまらんかった。

GO!ヒロミ’44。伝説のカルト芸人、らしい。くり~む有田とナイナイ矢部は辺見えみりの穴兄弟だとか、長井秀和は間違いなく創価学会だとか、差別用語の歌だとかを歌う、確実にテレビに出れない人。でもネタより、MCの「鳥肌実を絶対殺すと言い続けてる人」という紹介が一番面白かった。

イヌがニャーと泣いた日。中途半端な大道芸って感じかな。カッコいいスリッパの履き方は、確かにカッコ良かった。

田上よしえ。私この人、あんま好きじゃないです。好きじゃないというか、面白いと思わない。時々面白いこと言うんだけど、次の瞬間面白くないこと言うからゲンナリです。悪い意味で女性的と言うか。高校の時にいた鬱陶しい女子って感じ。

笑い飯。ハッピーバースデーのネタ。さすが。面白かった。ハッピバースデートゥーユー♪ってのがうまく歌えない、っていう入りだけで思いっきりツボ。どーでもいいじゃん!アホだわ~。終盤に向けてアホさがヒートアップしてくのがたまらんですね。

15:00 アイランドステージ

再びアイランドステージ。Great Adventure。実は本日一番期待していたバンド。日本人の3ピースバンドだけど、その音は邦楽という枠に収まるものではないし、3ピースの音でもない。セッティングの段階でかなりヤバい音を鳴らしていて、ステージが始まると強烈なグルーヴで一気に会場を掌握。フラカンのグレートよりも激しく踊るベースを初めて見た。なんてファンキー! なんてファンタスティック! その名のとおり、観客を果てしない壮大な冒険につれてってくれるそうなバンド。今回のベストステージ賞決定です。

踊り疲れ汗だくのまま、ソニックステージへ移動。UKの話題の新人バンドBLOC PARTY。このバンドのビートも、おもわず体が動いてしまう。洗練されてて、ダンサブルで、おしゃれな音。ケミカルブラザーズのアルバムに参加してるケリーのボーカルもいい。ここへ来て2連チャンのダンスタイムに、さすがに体がヨタってきた。

16:30 マウンテンステージ

本来なら、ここで若干の休憩が入る予定だったんだけど、マウンテンステージのBULLET FOR MAY VALENTINEのドラマーが高熱の為、急遽出演キャンセルということで予定が繰り上がり、休憩なしでPUBLIC ENEMYへ突入。後ろの方でゆっくり見るつもりだったのに、彼らがそうはさせてくれない。私が敬愛するレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンにも多大な影響を及ぼし、彼らを超えたいんだと言わせたヒップホップ界の生ける伝説。そのステージは素晴らしいエンターテイメント。気がつくと前の方で踊っていた。やばいと思いつつ、何かが憑依しているかのように体は止まらない。結局最後までその場を動くことが出来なかった。というか、その場で動くことしか出来なかった。

途中、the band apartのベーシストが外へ出てくのを見つけた。以前ライブで、俺たちはエンターテイメントじゃねぇからとか何とか、エンターテイメントってものを否定するかのような発言をしていた彼は、まさにエンターテイメントなこのステージが気に入らなかったのだろうか。それにしても、相変わらず近寄りがたいビジュアルだ……。

18:30 マリーンステージ

当初の予定では、ソニックステージでLa’sを見てからマリンステージに行く予定だったけど、早く行かないと入場規制で入れなくなる可能性があったので、La’sを諦めスタジアムへ行くことに。マリンステージに着いた時には、WEEZERが演奏中。アリーナはおろか、スタンド1階席にも入場規制がかかり、中に入るには最上段まで行かなければならない状態。前日の経験から、最上段まで上がるのは予想以上に疲れることが判明しているので、外へ出る振りをしてさりげなくスタンド1階席へ侵入。人混みの陰から遠くに見えるWEEZERを眺める。

それにしても、スタジアムがアリーナまで含め満員なってる状態は何度見ても圧巻だ。WEEZERを見て、次のOASISは見ないという人が、そんな沢山いるとも思えず、人であふれるスタジアムを見て早めに来たことが正解だったと痛感する。基本的に人混みは好きではないけど、ここにいるみんなが音楽を聴くために集まってることを思うと、なんだか嬉しくなる。

終了後、思っていたよりも人がはけて、わずかだけど空席もできた。特にバックネット裏は、照明の櫓やらブースのせいでステージが一部見えなくなるため不人気で人も少ない。バックネット裏に移動すると、終了後すぐ外に出れるように出口付近に陣取る。準備は整った。サマーソニックセロファイブ。いよいよ大詰めだ。

20:00 マリーンステージ

ステージのセッティングが整い、MCも袖に引っ込んだのになかなか始まらない。予定時間を10分ほどすぎた頃、嫌な予感を吹き飛ばすかのように突如2階席でウェーブが発生。どうやら客が勝手に指揮をとってやってるみたい。あれ気持ちいいだろうな~。

1度は落ち着いた会場も、なかなか始まらないことに業を煮やしたのか、ウェーブやオアシスコールが断続的に巻き起こる。そんな状態が5分ほど続いただろうか。MCが再び登場し、バンドはやる気満々だが、音響設備の故障により現在開始できない状況との説明がなされる。誰もが本当はリアムがまた逃げ出したんじゃないかと心の中でつぶやきつつ、本当にただの機材トラブルであることを願ってスタッフにエールを送る。

再会予定時刻とされた8時10分が刻々と近づく中、突如ドラムの音が会場に響く。音が鳴った。すなわち音響が直った。俄然色めき立つ観客。それから間もなくして会場暗転。3万人の歓声が空に響く中、遂にOASIS登場。1曲目はニューアルバムのオープニングを飾る「Turn Up The Sun」。おなじみのマイクに首だけ近づけるような姿勢でリアムが歌いだす。その瞬間、スタジアムが揺れた。

セットは新曲半分、往年の名曲半分と言ったところだろうか。とにかく、スタジアムがホントによく似合っていた。いろいろとお騒がせなバンド(というか兄弟)だけど、この紛れもない実力は流石というとこだろうか。ラストは「Wonderfwall」「Don’t Look Back In Anger」と会場中で大合唱し、THE WHOの「My Generation」のカバーでフィニッシュ。今回のアルバムのレコーディングとツアーには、現在THE WHOのドラマーであるザック・スターキーが参加してるため、まさに本物のとの競演。

演奏を終えバンドがステージから降りた直後、マリンスタジアム上空に花火が打ち上がる。夏の終わりを告げる花火だ。終了後すぐに外へ出て駅へ向かうつもりが、その場から動くことができなかった。すべてを手にした満足感と、すべてが終わってしまった虚無感を抱えながら、空いっぱいに広がる花火をただ見上げていた。

21:00

結局、駅へ向かう人の波にのまれ、しかも機材トラブルのせいで時間が押したため山梨へ帰る電車もなくなり、新宿の漫画喫茶で一泊することに。

フェスを楽しむというのは決して楽なものではない。夏の日差しに晒され、どこへ行っても人が溢れ、落ち着いてウンコすることもままならない。気に入らないことがあると、来年は来ねぇよ!と思うこともある。でもそこには、現場でしか味わえない苦労、現場でしか味わえない喜び、現場でしか味わえない空気があって、すべてが夢のようでいて本物なのだ。その素晴らしさを味わってしまった私は、きっとまたここに戻って来て、愚痴り、喜び、空を見上げるのだ。

早朝の駅のホームの待ち合い室で始発を待つ私の前に、サイドショーでダーリンハニーがやっていたような、日本人のおっさんとフィリピン人らしきおばさんのカップルが座った。おばさんの方は、短いスカートはいてるくせに足をがっぽり開いてベンチに座り、なんだか不機嫌そうにぶつぶつと文句を言っている。

「信ジラレナイヨー。ナニ。キモチワルイ。」

気持ち悪いのはお前だ。

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